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『改正雇用保険法が可決・成立!企業実務への影響は?』
改正雇用保険法が、2024年5月10日に可決・成立しました。今回の改正は、労使に大きな影響を与える「雇用保険の適用拡大」を盛り込んだものもあります。今後企業側にどのような影響があるのか確認をしていきたいと思います。
この度の改正の中でも特に注目すべきは、教育訓練支援の強化です。まず、2024年10月から、教育訓練給付金の給付率が受講費用の上限70%から80%に引き上げられることが決定しています。
これにより、自己負担が軽減され、多くの人がスキルアップやリ・スキリングに積極的に取り組むことが期待されます。
特に、成長産業への転職やキャリアチェンジを目指す人にとって、大きな助けとなるでしょう。企業としても、この制度を活用して従業員のスキル向上を支援することで、組織全体の競争力を高めることができます
さらに、2025年10月からは、新たに「教育訓練休暇給付金」が創設されます。
この制度では、雇用保険被保険者が教育訓練を受けるために休暇を取得した場合、その期間に基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合が支給されます。
これにより、経済的な不安を感じることなく、安心してスキルアップのための教育訓練に取り組むことができます。
企業にとっても、この休暇制度の導入は、従業員の能力開発を推進し、より高い付加価値を生み出す人材育成の一環として大きなメリットがあります。
また、育児休業給付の財政運営の安定化も図られており、育児休業を取得する従業員が安心して給付を受けられるよう、財政基盤の整備が進められます。これにより、育児と仕事を両立させる従業員を企業が積極的にサポートする体制が整えられることとなります。
失業手当の給付制限期間が従来の2ヶ月から1ヶ月へ短縮されることも見逃せません。(2025年4月1日施行)
これにより、自己都合で退職した場合でも、失業手当を早期に受給でき、再就職活動の負担が軽減されます。
最後に、2028年10月からは、週の労働時間が10時間以上の労働者に対する雇用保険の適用が義務化されます。
これにより、パートタイムや短時間勤務の労働者も、失業時に雇用保険からの支援を受けられるようになります。
企業には保険料の負担が増える可能性がありますが、その一方で、従業員の安心感が高まり、離職率の低下や人材定着につながることが期待されます。
これらの改正は、働き方の多様化に対応し、より多くの人々が安心して働ける環境を整えるためのものです。企業としては、これらの変化を前向きに受け入れ、従業員を支える体制を強化していくことが求められます。
(今回の担当:医療労務管理アドバイザー 田中 伸一 社会保険労務士)