安心して働ける快適な職場を作りましょう!!
『 役職・管理職は法定の「管理監督者」ではありません! 』
働き方改革関連法の施行から5年がたち、今年4月からは猶予されていた医業、運輸業等の働き方改革関連法が施行されました。時間外労働の上限規制を行うことにより、勤務医をはじめとする労働者の身体と心の健康を確保し、その能力を十分に発揮することで社会の発展に寄与することが目的である関連法ですが、その一方で担い手不足による事業の維持の問題や偽装フリーランス等の不適切な運用の問題が副作用として表れています。
本関連法の施行により労働者全体に時間外労働規制が適用されましたが、労働基準法第41条に該当する労働者はその適用から除外されています。
労働基準法 第41条
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く)又は第七号に掲げる事業に従事する者(第一次産業に従事する者)
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの(宿日直許可等)
このうち第2号の者は「管理監督者」と呼ばれており、以下の3要素をすべて満たす労働者が該当します(厚生労働省の通達:昭和22年9月13日付け発基第17号)。
1 当該者の地位、職務内容、責任と権限からみて、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあること
2 勤務態様、特に自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること
3 一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていること
管理監督者を巡っては、これまでに様々な争いが起こっています。多くの事例においては、役職・管理職ではあるが管理監督者ではないと判断され、時間外労働の認定および未払いの残業代等の支払いが命じられています(日本マクドナルド事件:東京地裁H20.1.29、日本レストランシステム事件:東京地裁R5.3.3等)。しかし世間を見ると、「役職・管理職」=「管理監督者」という認識が未だに多く見受けられます。如何なる名称の役職であっても、上記の3要素を実質的に満たさない限り「管理監督者」には該当しません。また管理監督者に該当しても、心身の健康に配慮する必要があります。時間外労働を如何にさせるかではなく、適切な業務量を把握し、所定の時間内に労働を終えることが現代では求められています。
(今回の担当:医療労務管理アドバイザー 松岡 大介 社会保険労務士)