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第66回勤改センター通信『医師の健康確保のためのルールが導入されます』

 

医師の健康確保のためのルールが導入されます

 2024年4月からの勤務医への時間外労働の上限規制の適用に合わせ、勤務医の健康を確保するための2つのルールが導入されます。

医師自身が、十分な睡眠が取れず連続して勤務する時間が長くなると、疲労が蓄積し、注意力の低下などによる医療ミスのリスクが高まるため、働く医師の健康を守りながら、持続可能な地域医療体制を作っていくために、医療法によるルール化が図られたものです。

1 長時間労働医師への面接指導

 時間外・休日労働が月100時間以上となることが見込まれる医師(病院、診療所に勤務する医師)に対しては、面接指導を実施することが義務とされます。

 対象となる医師に対し、面接指導実施医師による面接指導を行い、医師の健康確保のため、必要に応じ管理者が就業上の措置を講じることとなります。

面接指導実施医師については、養成講習会の修了者で、管理者でないことが要件とされ、できれば直接の上司とならないような体制の整備が望ましいとされています。

面接指導については、対象医師の「勤務の状況」、「睡眠の状況」、「疲労の蓄積の状況」、「心身の状況」を確認することとされています。

 必要に応じて講じる就業上の措置としては、「労働時間の短縮」、「宿直の回数の減少」、「その他適切な措置」を行うこととされています。

面接指導の実施時期は、月の時間外・休日労働時間が100時間以上となる前に行うこととされています。(時間外の上限が年960時間であるA水準が適用される医師は、疲労の蓄積が認められなければ、100時間以上となった後遅滞なく実施することも可とされています。)
 この面接指導は、36協定において、1か月の時間外・休日労働が100時間以上となることが認められる要件とされていること、労働安全衛生法の規定による面接指導が行われている場合は、当該面接指導を行うことを要しないとされていること等にも、留意が必要です。

2 勤務間インターバルと代償休息

 勤務間インターバルは、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の継続した休息時間を確保する制度で、時間外勤務の特例水準(時間外の上限が年1860時間とされているBC水準)が適用される医師については義務、A水準が適用される医師(36協定の上限時間が720時間を超えない場合を除く)については努力義務として、次の2種類の基本ルールが設定されています。始業から24時間以内に9時間の継続した休息時間を確保(通常の日勤および宿日直許可のある宿日直に従事する場合)始業から46時間以内に18時間の継続した休息時間を確保(宿日直許可のない宿日直に従事する場合)このルールに沿って、基本的に勤務シフトを作成する段階で休息時間を確保することとなります。

 代償休息については、予定された休息時間中に、やむを得ない理由により業務に従事した場合に、事後的に付与されるその時間に相当する休息です。(所定労働時間中の時間休の取得又は勤務間インターバルの延長のいずれかにより、翌月末までのできるだけ早期に確保する必要があります。)

なお宿日直許可のある宿日直に連続9時間以上従事する場合は、インターバルが確保されたとみなされ、当該宿日直中に業務が発生した場合の代償休息については、確保するよう努めることとされています。

 また、やむを得ず、長時間の手術等により、継続して15時間を超えることが予定される同一の業務に従事させる場合は、医師の健康確保の観点から、当該業務終了後次の業務開始までの間に15時間を超える時間の代償休息を確保する必要があります。

 このように、医療法において新たにルール化される面接指導と勤務間インターバル・代償休息については、全医療機関を対象に行われる医療監視(立ち入り検査)で確認が行われ、履行の確保が図られることとなっていることにも留意し、医師の健康確保の取組みを進めていく必要があると考えます。

                                                                                                                                                                                     (今回の担当:医療労務管理アドバイザー 長谷川 誠  社会保険労務士)

▶鳥取県医師会報2023年12月号(No.822)掲載記事はこちら