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第62回勤改センター通信『今後予定されている法改正の主なものについて』

 『今後予定されている法改正の主なものについて』

今後法改正が行われるもの、あるいは法改正が検討されている主要な事項について、現段階で分かっている範囲で情報提供します。

1.「医師」の時間外労働上限規制の猶予期間終了(令和6年4月)

 医師について時間外労働の上限が設定されていませんでしたが、令和6年4月以降は、原則年間960時間を超えて時間外、休日労働をさせてはならないとされています。なお、地域の中核的病院等で県の認定を受けた場合は上限が、年間1,860時間となります。また、令和6年4月以降の36協定届を提出する場合、様式が大幅に変更になっており注意が必要です。36協定は1年間の有効期間を定めて提出しますが、令和6年4月以前に届け出た協定は有効期間が満了するまでは猶予期間が終了してもそのまま有効です。

2.社会保険の適用拡大(令和6年10月)

 これまで健康保険・厚生年金保険に加入していなかった一部のパート・アルバイト従業員(週の労働時間が20時間以上30時間未満等の要件あり)に対して、社会保険加入を必須とする法改正が行われます。令和4年10月には「従業員数が常時101人以上」の企業にまで対象が拡大されましたが、令和6年10月からは「従業員数が常時 51人以上」の企業も対象になります。

3.労働条件明示ルールの変更(令和6年4月) 

 労働契約の締結や更新の際に、その従業員に対して賃金、労働時間等の労働条件を明示する義務があります。明示が必要な労働条件のうち、「就業 場所」と「業務」について、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示も必要になります。また、有期契約労働者について、契約の更新上限の有無と無期転換の申込機会、そして無期転換後の労働条件の明示も必要になります。

 

4.政府の異次元の少子化対策(検討中)

(1)男性の育児休業の取得率目標

 男性の育児休業の取得率を令和7年までに30%に引上げる政府目標が示されていましたが、試案では、令和7年に50%にするとしており、さらに令和12年に85%にするとしています。

(2)育児休業給付の給付率引上げ

 現在の育児休業給付の給付率は支給開始から180日目までが67%、181日目以降は50%ですが、試案では支給開始から28日間の給付率を80%に引上げることが検討されています。

(3)現在、育児・介護休業法では、所定労働時間を原則6時間とすることができる育児短時間勤務制度の対象を、3歳未満の子どもを養育する従業員としています。これに関連し、育児期を通じた柔軟な働き方を推進する目的で、子どもが3歳以降 小学校就学前までの場合において、短時間勤務、テレワーク、出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方を職場に導入するための制度が検討されることになっています。

 

(今回の担当:医療労務管理アドバイザー 影山 知也 特定社会保険労務士)

 

▶鳥取県医師会報2023年8月号(No.818)掲載記事はこちら