鳥取県医療勤務環境改善支援センター

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鳥取県・鳥取労働局委託事業:公益社団法人 鳥取県医師会

第54回勤改センター通信『定年制について』

『定年制について』

 

我が国の定年制度の歴史は、昭和初期に55歳定年がスタートし、平成10年(1998)に定年60歳が義務化され、平成25年(2013)には65歳までの継続雇用が義務となり、令和3年(2021)4月1日に施行された改正高年齢者雇用安定法では、65歳から70歳までの労働者の就業機会を確保するため、「70歳までの定年引上げ」もしくは「70歳までの継続雇用制度の導入」などの措置を講ずる努力義務が新設されました。この努力義務も近い将来「義務」になるものと思われます。

年代ごとの呼び方について、15歳から64歳までが生産年齢、65歳以上を高齢者、65歳から74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と定義されています。

日本の総人口は現在減少に転じていますが、これまで生産年齢として経済を支えてきた人々が次々と高齢者となり、さらに高齢化が進んでいる状況です。

その要因の一つが医療分野の発展や生活の変化などにより平均寿命が少しずつ延びつづけていることと、もう一つの要因が少子化の進行です。

高齢化が進むことで経済成長と社会保障制度が大きな問題となり、高齢化および少子化の進行により労働力人口も加速度的に減少し、このまま進むと2060年には高齢者1人を生産年齢約1人で支えることになり、医療や介護費を中心に社会保障に関する給付と負担のバランスが崩壊してしまいます。

年金や介護などの社会保障制度は生産年齢によって支えられていますが、生産年齢人口の減少に加え、高齢者人口が増加することと少子化が進行することから、総人口に占める労働力人口の割合が低下することになります。

そのため、少しでも多くの労働力を確保するために昨年4月に施行された改正高齢者雇用安定法により70歳までの雇用が努力義務とされました。

コロナ禍に加え世界情勢も混沌としており、予測がつかない世の中ではありますが、日本の現状を認識しつつ、政府の施策に任せておくだけではなく、私たち自身もこの問題と向きあっていかなければ、厳しい未来が待ち受けている可能性があります。

定年制度に関して、疑問点等ありましたら支援センターまでご相談ください。

 

(今回の担当:医療労務管理アドバイザー 藤田誠社会保険労務士)

 

 

 

▶鳥取県医師会報2022年12月号(No.810)掲載記事はこちら