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第51回勤改センター通信『労働基準法に基づく宿日直の許可について』

『労働基準法に基づく宿日直の許可について』

 

1 労働基準法に基づく宿日直の許可制度

 今、医療機関の働き方改革に関連して宿日直の許可が得られるかどうかが大きなポイントとなっています。宿日直の許可の根拠規定は、次のようになっています。

○ 労働基準法第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一及び二 省略

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

宿日直の許可を受けた場合は、その時間は、1日8時間、1週40時間の労働時間の規制の対象外となります。そして、「監視又は断続的労働に従事する者」が宿日直の許可の対象となるのは、監視又は断続的労働は、労働密度が薄く、身体の疲労や精神の緊張も少ないため、労働時間等の規定の適用を全面的に除外しても、労働者の保護に欠けるところがないからだ、と説明されています。

宿日直の許可を受けるためには、上記の①勤務内容の他、②手当(賃金の平均日額の3分の1を下回らないこと)、③頻度(原則として日直は月1回、宿直は週1回)、④睡眠設備(宿直の場合)などの条件もあります。

 

2 医療分野における「宿日直の許可」

 医師などの宿日直勤務については、1で述べた「一般的な許可基準」に関して、通達により、具体的な判断基準が示されています。それによると、「一般的な許可基準」を満たした上で、

① 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

② 宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること。

③ 宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること。

 

といった条件が明示されています。

さらに、最近では、宿日直の許可事例が公表されるようになってきましたので、これらの情報も参考としながら、新たに宿日直の許可の取得を目指すかどうか、あるいは既に許可を得ている場合は、現在でも許可の要件を満たしているのかどうか検討していただければと思います。

              (今回の担当 医療労務管理アドバイザー 入江裕之 社会保険労務士)

 

▶鳥取県医師会報2022年9月号(No.807)掲載記事はこちら