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先日ある会社の担当の方から、「お子さんの病気が発覚して長期の入院をすることになった社員がいるのですが、なにか使える支援制度はありますか?」という質問がありました。
もし、家族が病気やけがをして、面倒を見なければならなくなった場合や高齢を理由に介護が必要となった場合等に利用できるのが「介護休業制度」になります。
介護休業とは、要介護状態の家族を介護するための休業をいいます。なお、要介護状態とは、「負傷や疾病、身体上・精神上の障害を抱えており、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要となる状態」のことを指します。対象となる家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹です。
育児休業の場合と同じく、企業側は社員が介護休業取得を申し出た場合、原則として取得の申し出を拒否できません。さらに、育児休業や介護休業の取得を理由として、その社員の待遇を不当に扱うことも禁止されています。
介護休業は、取得予定日から数えて93日目を経過する日から6か月以内に退職予定(契約満了)ではない労働者が取得できます。また、取得日数は対象家族1人あたり通算93日、最大3回まで分割が可能です。
介護休業とよく似た制度として「介護休暇」がありますが、2つの制度の大きな違いは、介護による休みの取得可能日数です。介護休業は通算93日間に対し、介護休暇は年間最大5日間(時間単位や半日単位の取得も可能)となっています。
介護休業期間中は無給となるところが多いと思いますが、介護休業の際に受け取れるのが「介護休業給付金」です。介護は人の命に関わる行為であり、仕事よりも大事な行為ともいえます。ただし休業となるので、その期間は収入がありません。そのため、もし介護によって休業を余儀なくされてしまった場合はもともとの所得に応じて、国から介護休業給付金が支払われます。給付金は休業時の備えとして活用できます。
・介護休業を取得した、雇用保険の受給資格者
・介護休業の開始日の前の2年間に、雇用保険に12か月以上加入していること
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
給付金の申請は介護休業が終了してから行います。申請期間は、介護休業終了日の翌日から2か月後の月末までです。例えば、4月10日に介護休業が終了したならば、4月11日~6月30日の間に手続きを行います。
介護の問題は誰にでも起こりうる問題です。介護休業制度自体が、職場の仲間の支えがあってこそ成立する制度です。本人も職場の上司や同僚への配慮は必要ですし、周りのちょっとした心遣いで人間関係も円滑にいくと思います。
(今回の担当 医療労務管理アドバイザー 田中伸一 社会保険労務士)
▶鳥取県医師会報2022年6月号(No.804)掲載記事はこちら