安心して働ける快適な職場を作りましょう!!
はじめに
「多様性と調和」を理念に掲げた東京五輪が幕を閉じました。多様性は、一人一人の考えや人柄といった「個」を尊重することから始まります。今回は、労務管理の現場における、LGBTQ+、SOGIへの取組みについてお伝えします。
LGBTQ+とは?
LGBTQ+(プラス)とは下記の呼称の頭文字をとった単語を指し、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)の総称の一つです。
L:レズビアン |
心の性が女性で恋愛対象も女性 |
G:ゲイ |
心の性が男性で恋愛対象も男性 |
B:バイセクシャル |
恋愛対象が女性にも男性にも向いている人 |
T:トランスジェンダー |
「体の性」は男性でも「心の性」は女性というように、「体の性」と「心の性」が一致しない人 |
Q:クエスチョニング |
恋愛の方向が定まっていなかったり、その変化している途中である等の人 |
これらに加えて、それ以外の性を表す「+(プラス)」を付けて『LGBTQ+』という言葉が最近では使われるようになってきました。東京五輪ではLGBTQ+(セクシャル・マイノリティー)である、と自ら公表している選手が多かったのも特徴的です。
SOGI(ソジ)とは?
「SOGI(ソジ)」とは性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)の頭文字を取った言葉で「LGBTQ+」と呼ばれる性的少数者かどうかに関係なく、すべての人が持つ性別や性的指向に関わる概念を指します。「SOGIハラ」とは「SOGI」に対する侮辱的な言動を言います。
SOGIハラで初の労災認定
令和3年2月、法的な手続きを経て戸籍性を女性に性別変更した病院勤務の看護助手が、精神障害を発症したのは職場で変更前の性別で扱われ続けたことが原因であり、「SOGIハラ」に該当するとして労災を申請し、大阪府の茨木労働基準監督署が労災認定をしています。労働基準監督署は精神障害を発症する前のおおむね半年間にそのような事実があったと認定し、こうした言動は「性的指向・性自認に関する侮辱的な言動」で、パワハラに該当するとしました。
より広範なハラスメント対策を
皆さんの職場では気軽に性的指向を伴った発言をしていませんでしょうか?女性的な言葉遣いや物腰の柔らかい男性に対して「ホモじゃない?」と嘲笑するようなことです。当該言動の対象となる人が実際に同性愛者であるかは問題では無く、同性愛という性的指向が侮辱されることが問題なのです。「男らしさ」「女らしさ」の規範から外れていることを侮辱することが結果として、LGBTQ+当事者を傷つけていることがあります。現場においては、まず現場責任者や労務管理担当者がLGBTQ+やSOGIハラについての知識を正しく持つことが必要です。そして働く皆さんが個人の尊厳を考えた言動を日頃から心がけることができるような職場風土づくりに努めることが重要だといえます。
(今回の担当 医療労務管理アドバイザー 尾﨑宏之 社会保険労務士)
▶鳥取県医師会報2021年11月号(No.797)掲載記事はこちら