鳥取県医療勤務環境改善支援センター

安心して働ける快適な職場を作りましょう!!

鳥取県・鳥取労働局委託事業:公益社団法人 鳥取県医師会

  • ホーム
  •  > センター通信
  •  > 第39回勤改センター通信『病院における年次有給休暇取得の工夫について』

第39回勤改センター通信『病院における年次有給休暇取得の工夫について』

  病院の医師、看護師の方におかれては年次有給休暇(以下「「年休」という」がなかなかとりづらいと感じておられる方が多いのではないでしょうか。

一方、2019年4月から年10日以上年休が付与されている労働者に対して5日については労働者の希望を聞いたうえで使用者が時季指定をして取得させることが義務となっていますので、忙しいから年休を取得しなくても仕方ないではすまなくなっています。年休が取得しやすい職場づくりは、喫緊の課題と言えます。

まずは、最初に年休の基本的なルールについて確認の意味で説明します。年休は、労働者が時季を指定して請求したら、事業主はそれを拒めないとされています。ただし、事業主には時季変更権があり、「その日は年休を取られると業務に支障があるのでこの日にしてもらえないか」ということが出来るとされています。また、労働者が退職することが決まっていて、残っている年休を消化することを申し出た場合は、時季変更の余地がないため認めるしかないとされています。

 これらのことについては、労働基準監督署において労働者から年休を申し出ても認めてもらえないとか、退職前の年休消化を拒まれたとの相談があることがありますが、年休は拒めないというのが基本です。

 次に業務多忙の病院であっても年休の取りやすい職場にするための工夫について一例を紹介させていただきます。

<病棟看護師のマンスリー年休の導入>

 病棟の看護師長におかれては、翌月のシフト調整に苦労されていると思いますが、その苦労を看護師が感じて年休を取りにくい空気があるのではないでしょうか。しかしながら年に5日以上の年休取得は義務とされていますので、職員の皆さんの希望を聞いたうえで確実に気兼ねなく年休を消化するため「マンスリー年休」を導入されてはいかがでしょうか。(子育て中の方で年休をそのために使いたい方もありますのでそのような方は配慮が必要ですが。)

例えば、A、B、Cの看護師は奇数月に年休取得、D、E、Fの看護師は偶数月に年休を取得することを基本にして、勤務シフトを調整する前に年休予定を申し出てもらう。都合により変更したい場合は前後にずらすことも認めるとしてはどうでしょうか。また、看護師長自ら積極的に年休を消化することも大事です。

<医師の年休取得について>

一方、医師の年休取得については、時間外勤務も相当時間あり代わりの医師もいないことからさらに年休取得が困難と思われます。しかしながら、医師におかれても可能な限りマンスリー休暇を導入されてはどうでしょうか。外来診療がある場合には代理診療を他の医師に頼む余地はないのか、診察日をあらかじめ変更することはできないのか検討され、入院患者の担当も主治医のみがかかわるのではなく診療科でグループとしてかかわる仕組みを導入するなど、検討されてはどうでしょうか。

 病院における働き方改革は待ったなしの状況ですので、年休取得についても点検をされることをお勧めします。

 

(今回の担当 医療労務管理アドバイザー 影山知也 社会保険労務士)

 

▶鳥取県医師会報2021年9月号(No.795)掲載記事はこちら