鳥取県医療勤務環境改善支援センター

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第37回勤改センター通信『働く人も納得 労務管理いくつかのポイント』

1 労働条件を示す際には文書を交付し説明を行い質問を受け付ける

a 契約期間

b 期間の定めのある契約を更新する場合の基準

c 就業の場所、従事すべき業務

d 始業終業の時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換

e 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切、支払の時期、昇給

f 退職(解雇の事由を含む)

 以上6項目については文書を交付し、丁寧に説明し、質問にも応えましょう。

2 「時間外労働・休日労働に関する届(=36協定届)」を監督署に提出しているから、そ  の範囲であれば、いくら労働させてもいい?

 協定の枠内の労働時間であっても、密度の濃い業務や緊張を強いられる業務等で労働災害に陥ったら、安全配慮義務違反に問われる可能性があります。長時間労働の削減の努力は必須です。

3 有給休暇を取ってもらう

有給休暇の残日数を各従業員に周知し、部署ごとに取得計画を立て、有給休暇を取得しやすい職場を目指しましょう。

4 解雇は就業規則に基づいて

解雇は、その人の収入と仕事を失わせることになるので、慎重な対応が求められます。

a 具体的事実・状況を把握し

b 就業規則の条項へのあてはめ

c その解雇理由が、多くの人が「解雇も仕方ないね」と思うような「客観的に  合理的」な理由でなければなりません。

d 対象労働者の言い分もちゃんと聞きましょう。

e その上で、解雇相当との判断がなされた場合、改めて、通告しましょう。

f 解雇は最後の手段。他の方法が可能かどうかも検討して下さい。

5 基本給・賞与・退職金・各種手当について労働者間で差がある場合、その理由を説明  できる

特に正規職員と非正規職員間に格差がある場合、「なぜですか」と当該職員に聞かれたら、理由を答えなければなりません。2021年4月1日からは、中小企業を含めすべての事業場で格差がある場合の説明義務が法施行されています。

6 ハラスメント防止対策が機能している(①相談窓口の周知②ハラスメントは懲戒処分の対象になることの就業規則への明記③事案発生時の体制の確認④ハラスメントの有無にかかわらず毎年の研修の実施etc.)

多くのハラスメントが「指導・教育」という名の下で行われている実態があります。また、懲戒には該当しなくても、指導とは言えない事案もあります。

【例】

指導者「また失敗したの。いつもそこで失敗しますね」「できるまで帰っちゃだめですよ」と言って帰宅。

被指導者は遅くまで残って努力するができない。

明くる日、指導者は「もういいです。私がします」と言う。

力を入れていただきたいのは、「指導・教育とは」についての研修です。これを毎年行うことで、「なるほど」「確かに」と被指導者が納得して理解してくれる、指導者の本当の指導力をつけることができます。

 

 

(今回の担当 医療労務管理アドバイザー 服部 昭 社会保険労務士)

 

▶鳥取県医師会報2021年7月号(No.793)掲載記事はこちら