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第57回勤改センター通信『デジタル払いによる給与支払いが解禁になります』

「デジタル払いによる給与支払いが解禁になります」

 

令和4年11月28日、デジタルマネーによる給与支払いを可能とする、労働基準法施行規則を改正する省令が交付され、令和5年4月から、デジタルマネーによる給与支払いが可能になります。

 給与の支払いには五つの原則があって、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されており、口座振込は労働者の同意を要するもので、本来例外なのですが、これに加えて、○○ペイ、○○払いといった、資金移動業者を介しての給与支払いを解禁するものです。

 ここで、なぜ今給与のデジタル払いを推進するのか、いくつかの理由が挙げられており、(1)新しい生活様式に対応した規制改革推進の一環 、(2)口座開設に一定のハードルがある外国人労働者の受け入れ拡充、(3)キャッシュレス決済の推進、国際競争力の強化、(4)厚生労働省の調査で、一定のニーズがあると判断された、というもので、給与支払いの課題解消や成長促進を図れると説明されています。

給与のデジタル払いには、いくつかのメリットがあるとされていて、経営者、労働者双方のメリットが、(1)先にあげた外国人労働者の受け入れ拡充、経営者のメリットが、(1)資金移動業者のサービス内容によっては、振込手数料を削減できる可能性がある、(2)社会の変化に対応した経営者であるとされ、イメージ向上が期待できる、労働者のメリットは、(1)スマートフォン等の決済アプリに直接賃金が振り込まれ、現金を残高にチャージする手間がなくなる、(2)ポイント還元の対象になるなどの福利厚生の充実、などが考えられます。

他方デメリットも存在していて、経営者側からは、(1)給与を振込とデジタル払いに分けた場合、二重運用が発生し、手間が増える、(2)労働者のデジタル払いへの理解が十分でないと、トラブルの原因になる、労働者側のデメリットは、(1)QRコード決済や電子マネーが普及してきたものの、 公共料金の引き落としなど、電子決済に未対応のものも多くあり、現金化や銀行口座への振り込みをするとなると手間がかかる、(2)振込金額の上限が100万円までになっている、(3)万一、資金移動業者が経営破たんしたとき、労働者に支払われるべき賃金支払は補償されるのか、といったものがあります。

 実際にデジタル払いを行うと決めた場合、必要な手続きは(1)就業規則の改定や労使協定の締結、(2)必要事項の説明、(3)労働者一人ひとりとの書面での同意、(4)指定資金移動業者の選定、(5)口座情報の収集、と多岐にわたり、事務負担が大きいため、例えば賞与の一部をデジタル払いで支給する、といった部分的、段階的な実施などの方法が考えられているようです。

 現実問題として、デジタル払い自体、発展途上にあると考えられ、社会一般でニーズがあることと、自分の会社でニーズがあるかどうかは別のことと思いますが、今後ますますキャッシュレス化が進むのは間違いなく、先にあげたデメリットをどの様に解決していくか、注目する必要があり、また、デジタル払いの仕組みが存在する、という点を、関心を持って見ていきたいところです。

 

(今回の担当 医療労務管理アドバイザー 八木宏敏 社会保険労務士)

 

▶鳥取県医師会報2023年3月号(No.813)掲載記事はこちら