健康なんでも相談室

40年前からの膝関節痛-人工関節置換術のすすめ-

回答者:  鳥取赤十字病院副院長 福島 明

質問

74歳女性。約40年前に転倒して両膝を打ってからときどき膝に水がたまり治療を受けていました。4年前から転倒するたびに水と血液がたまり痛みと腫れのため、2回入院し手術せずに1カ月で退院しました。今年2月に転倒してからも同じ症状があり今も通院していますが先生は両膝の人工関節置換術をしたほうが良いと言われました。注射や薬では治らないでしょうか。腰も痛みます。

回答

中年以後におきる膝の痛みの原因は変形性膝関節症がほとんどです。変形性膝関節症は軟骨、骨の年齢的変化によっておきる病気です。この女性はたびたび転倒したため膝の軟骨、骨、靭帯、半月板などが損傷された可能性があります。年齢的変化以外にこのような外傷があると軟骨、骨が直接障害されたり、靭帯、半月板の損傷のための2次的、間接的障害のため、変形性膝関節症が早くおこりやすく、また程度もひどくなるのが一般的です。

変形性膝関節症の治療は症状の軽い時期は痛み止めのはり薬や飲み薬、炎症止めや軟骨の栄養剤の注射、足底板の装着、温熱治療や大腿部の筋力強化体操などがあります。この女性の治療歴から判断するとやはり手術的治療の時期になっていると思います。人工関節置換術が一般的ですがそのほかの手術もあります。腰痛もあり転倒しやすいとのことですので腰椎の病気や内科的病気の有無についても検査が必要と思います。主治医とよく相談し最善の治療をうけられることをおすすめします。