60歳男性です。先日、検診で胃カメラを受け、軽度の食道裂孔ヘルニアと1cmほどの「バレット食道」を指摘されました。先生からは症状がなければ1年後の経過観察で良いと言われましたが、発がんのリスクもあると聞いて心配です。治療方法や日常生活で注意することがあれば教えてください。
回答
内視鏡検査による経過観察を
バレット食道という病気は、主に胃酸が食道に上がってくることで起こります。胃酸により妨げられた食道粘膜が再生する時に本来の扁平上皮ではなく、胃の粘膜である円柱上皮で再生された状態をバレット食道といいます。日本人に多いバレット粘膜の長さが3cm未満の短い粘膜からの発がんは比較的少ないとされていますが、それでも1~2%の発がんのリスクはあります。
現在のところ、バレット食道を正常な扁平上皮に戻す治療法は確立されていませんが、胃酸の逆流症状(胸やけ、のどの痛みなど)がある場合は、放置してしまうと症状が進行してしまう可能性があるため、酸抑制剤の内服が推奨されます。症状がない方への内服は酸抑制剤の長期投与による副作用の問題もあり、明確な結論は出ていません。
日常生活で注意することは胃酸の逆流を防ぐために、香辛料などの刺激物、高脂肪食、過食、食後すぐに横にならないなどです。バレット食道と診断された方は、1~2年に一度は必ず内視鏡検査で経過を見てください。粘膜内のがんを見つけることができれば内視鏡で完全に治療することができます。