健康なんでも相談室

股関節の形成不全について

回答者:  鳥取県西部医師会員 山本敦史

 

 

質問

 50代女性です。半年前から右股関節が痛く、仕事中は大丈夫ですが仕事の後に痛みが強くなります。整形外科ではレントゲンから股関節の形成不全があると言われました。まだ軟骨のすり減りはないですが、将来的に変形性股関節症になりやすいと聞きました。医師よりリハビリを勧められたので、やることにしたのですが、痛みが続いています。将来的には絶対に変形性股関節症になってしまいますか。

回答 

変形性股関節症 進行防止が重要

 

 股関節の形成不全とのことですが、正式には寛骨臼(臼蓋)形成不全と言い、日本人女性の2~7%に認められます。股関節の軟骨がすり減り始めると、痛みや足の動きが悪くなり変形性股関節症になります。

 エックス線で軟骨のすり減りがないので、変形性股関節症の前期と思われます。加齢とともに初期、進行期、末期と病期が進む可能性がありますが、形成不全があるからすぐに変形が進むわけではありません。

 予防には適正な体重コントロールが必要です。股関節が硬くならないように可動域訓練や筋力トレーニングが必要で、水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2~3回行うのがお勧めです。変形が進行してしまった場合には、自分の骨を温存できる骨切り術や人工関節置換術が必要となります。

 将来的には、形成不全の程度や生活環境(過度な労働など)により、股関節の変形が進行する可能性があります。定期的に診察やエックス線で股関節の状態を把握しておくことが重要です。