健康なんでも相談室

過敏性腸症候群

回答者:  鳥取県東部医師会員 秋藤洋一

 

 

質問

 50代男性です。今年の1月ごろから、嘔吐と下痢があり、内科通院していました。一向に改善しないため、消化器内科で上部下部内視鏡検査を受けましたが、特に異常は認められず、これまでの経過から過敏性腸症候群の診断を受け通院を続けました。原因の一つとして仕事のストレスがあり、心療内科を勧められ通院中ですが、症状は改善しません。一般的な過敏性腸症候群の治療期間はどのくらいなのでしょうか。これまでかなり我慢して仕事や生活をしていましたが、そのために治癒が遅くなることがありますか。

 

回答 

機能性消化管障害への対応を

 

 過敏性腸症候群は、腹痛とそれに関連した便通異常を特徴とします。ご質問の方は腹痛がなく、嘔吐と下痢を主症状としていますので、機能性消化管障害ととらえ、機能性胃・十二指腸障害と機能性腸障害のオーバーラップしたものと考えます。診断では器質性要因はないとのことですが、急性胃腸炎の後遺症として起こるもの、ヘリコバクターピロリ感染関連のもの、腸内細菌の異常、つらいストレスや体験による過剰防衛反応なども引き金となりますので、もう少し詳細な検索をお勧めします。

 ただ、機能性消化管障害の症状は長期にわたることが多く、治療は症状を緩和しながら、病気とうまく付き合うことが大切で、生活習慣の改善も組み入れ、長期的な観点から治療を受けることが重要です。現在、細胞・分子レベルの異常も明らかになりつつあり、新たな診断・治療法につながると期待されています。