健康なんでも相談室

IgA腎症が悪化?

回答者:  鳥取県西部医師会員 福井毅顕

 

 

質問

 40代女性です。中学校の頃から尿検査でひっかかり、25歳の時に腎生検でIgA腎症と診断。以降は経過観察となっていました。ただ今年に入ってから尿蛋白陽性になり、医師からはまずは経過観察だが、悪化した場合は再生検もしくは見切りの治療の方向と言われました。次の4点について教えてください。治療内容▽蛋白が出てきた原因▽生活上で気を付けること▽治療せずに数値がよくなることはあるか―。ちなみに塩分摂取は以前から気をつけており、また鉄欠乏性貧血があり鉄剤を服用しています。

 

回答 

蛋白尿・血尿の程度で治療方針を決定します

 

 IgA腎症の治療は、蛋白尿・血尿の程度や腎糸球体組織の活動性で異なります。軽度の変化では降圧剤治療や抗血小板剤で加療します。しかし蛋白尿が多い場合は扁桃摘出+ステロイドパルス療法という積極的な治療を行うこともあります。

 尿蛋白の原因ですが、もともとIgA腎症と診断されており、その病勢が悪化したと考えることが妥当かと思います。一方,蛋白尿のみ目立つなどIgA腎症に非典型的な場合は、再生検にて組織評価が必要な場合もあります。

 IgA腎症の3割程度で自然寛解例があります。しかし蛋白尿が多いと治療介入なしでの改善は難しいと考えます。蛋白尿が多い状況を放置し腎障害が進んでしまえば、腎機能回復は難しいため早期の治療が望ましいです。これまで通り減塩を継続し、定期的な検尿・腎機能チェックを継続してください。