健康なんでも相談室

コロナ感染後の動悸

回答者:  鳥取県東部医師会員 菅 敏光

 

 

質問

 30代女性です。1カ月前にコロナに感染しました。症状自体は軽症でしたが、回復後から動悸、息切れ、息苦しさ、脈の乱れ、胸痛などの症状が強くなっています。ただ立って家事をするだけで息切れがあり、座り込んでしまいます。普段は徐脈傾向ですが、動悸がひどいときは、脈拍が60~90くらいに突然速くなったり遅くなったりして不安定になります。循環器で胸部エックス線、心エコー、心電図を検査しましたが、異常なしでした。検査で異常がなくても後遺症が心配な場合、CTなどもっと詳しい検査をした方がいいでしょうか?重篤な疾患に至る可能性はあるのでしょうか?

 

回答 

後遺症の可能性あり 特効薬なく対症療法に

 

 コロナ感染後の後遺症に関しては、感染時の重症度にかかわらず罹患後2~4週間後に動悸や息切れを感じることがあるようです。この異常な心拍数の上昇は、新型コロナウイルスが自律神経系の機能障害を引き起こしている可能性があるようです。どのようにしてこうした機能障害を引き起こすのかはまだわかっておりません。

治療に関しては現時点では特効薬はなく、対処療法となります。脈を調整するβ遮断薬や痛みを伴う場合は、抗炎症薬を使用することが多いようです。経過も1年以上かかる方もおられるようですので、定期的に経過をみていく必要があります。

また、循環器検査で異常がない場合でも、潜在的に心筋障害のマーカーに異常を認めることがあり、MRI検査による心筋の状態評価が必要なこともあります。