健康なんでも相談室

左を見ると物が二重に

回答者:  鳥取県西部医師会員 富長岳史

 

 

質問

 30歳代の女性です。右方向を見たときはいいのですが、左方向を見ると物が二重に見え、生活に支障が出てきています。また、ピントが合いにくく、急にかすんで見えたり、ゆらゆらと動いて見えます。めまいや手足の運動障害などはありません。何か重大な病気が潜んでいる可能性はあるのでしょうか。目の酷使でも起こりうるのでしょうか。

 

回答 

眼科受診し状態把握を

 

 物が二重に見える症状を複視といいます。複視には、片目ずつで見たときにも症状が出る片眼複視と、両目で見たときのみ症状が出る両眼複視があります。片眼複視の原因としては、近視や乱視などの屈折異常や白内障などの眼疾患が挙げられます。一方、両眼複視の場合は、眼の動きが悪くなる眼球運動障害が原因として考えられます。今回の症状は、左を見たときの複視ですので、左目が外(耳側)を向く運動、又は右目が内(鼻側)を向く運動が障害されたことによる両眼複視が考えられます。眼球運動障害の原因はさまざまですが、頭蓋内疾患や糖尿病、甲状腺疾患、重症筋無力症などの神経系の疾患が背景にある可能性があります。また、最近では、スマートフォンなどの過度の使用による急性内斜視(目が内側に寄ってしまう)や調節障害(ピントが合いにくい)も増えており、今回のエピソードの原因として考慮する必要があるかと思います。眼球運動障害は一過性の事も多いですが、まずは眼科を受診し、現在の状態をチェックしてみることをお勧めします。