健康なんでも相談室

椎間板ヘルニア

回答者:  鳥取県中部医師会員 吉川尚秀

 

 

質問

 30代男性です。1カ月前に腰と左もも裏に激しい痛みを感じ、MRIを取ったところ、L5/S1の椎間板ヘルニア(S1神経を圧迫)と診断されました。その後1カ月を経て会社にも出社ができるようにまで回復した直後、段ボールを持ち上げた時にまた1カ月前と似た激痛を感じました。これまでは、注射や痛み止めの薬、けん引による保存療法で進めてきたのですが、このように回復と再発を繰り返すようなら、仕事にも支障が出ますので、外科的治療も考えています。このまま保存療法で進めていくのがいいのか、思い切って手術をしたほうがいいか、教えてください。

 

回答 

手術、「ヘルニコア」治療相談を

 

 腰椎椎間板ヘルニアの約80~85%は自然経過で軽快するとされ、保存的療法が原則です。保存的療法を2~3カ月行っても効果のない場合、痛みの発作が繰り返す場合、痛みが激烈な場合、下肢の神経障害が著明な場合などには手術的療法が行われます。

近年、腰椎椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)という治療法が行われるようになりました。これは飛び出た椎間板に直接薬を注入し椎間板を構成する髄核という組織を融解させることで、ヘルニアによる神経の圧迫を弱めるという治療です。1泊2日の入院で行える、比較的早期から症状改善が期待できるなどの利点がある一方、特定の病院でしか行えない、ヘルニアの型によっては適応にならないという面もあります。整形外科の中でも日整会認定脊椎脊髄病医の在籍する病院で相談されるとよいでしょう。