94歳になる母がいます。少し認知症がありますが、日常生活にあまり差し障りはありません。この頃「隣の部屋から、にぎやかな歌声が聞こえる」とよく言うようになりました。耳鳴りはあったようですが、幻聴は最近出てきたように思います。この時、家族はどのような対応をすれば良いのでしょうか。
回答
否定をせず安心感を
幻視や幻聴などの幻覚症状は、高齢者でよく認められる症状の一つです。幻覚は、実在しないものが見えたり聴こえたりするもで、認知症の症状として現れることありますが、薬の副作用やせん妄症状として現れることもあります。また高齢による機能低下に不安やストレスが加わると幻覚や錯覚は起きやすくなります。認知症ではレビー小体型認知症の症状としての幻視がよく知られています。ご質問の幻聴への対応ですが、やはり「否定をしない」ことが重要になります。幻聴はその人には実際に聴こえていることですから、否定をすることが結果的にご家族への不信感につながることがあります。しかし肯定しすぎることも良くないとされています。幻視や幻覚が起こる背景は疾患にもよりますが、多くの場合は同時に不安を感じていらっしゃいます。幻覚の内容を聞いて一緒に対処したり、しばらく付き添ったりし安心感が得られると、それ以上幻覚が悪化したり、妄想へ発展することは少なくなると思います。