30代女性です。去年の7月に人間ドッグで胸水がたまっていると言われ、量は左がレントゲンにわずかに写る程度、右はたまっているけれどもレントゲンに写らない程度です。
少量なので自覚症状はありません。経過観察をずっとしてきましたが、今年の8月まで量が増えも減りもせず一年以上不変の状態です。胸膜炎は起きていません。いつレントゲン撮っても同じ状態で、胸水が減らないので困っています。
回答
治療の必要のない胸水
胸水は肺と胸壁の間にある胸膜腔内(こうない)における体液です。正常でも胸水が10~20mlほど胸膜腔内に薄く広がっていて,肺と胸壁の間の動きを容易する潤滑油のような役割をしています。胸水は胸膜にある毛細血管から胸膜腔に染み出して,再度吸収されて常に入れ替わっています。
胸水は胸膜腔への流入が多すぎる場合や胸膜腔からの流出が少なすぎる場合に蓄積します。胸水の原因の主なものは心不全、結核、がんなどがあります。原因を調べるために胸腔穿(せん)刺(し)および胸水分析がしばしば必要とされますが、約15%は病因がわかりません。精査をしても原因不明で、少量で自覚症状のない胸水は治療の必要がない場合もあります。今回のご相談の場合は病的な胸水とは考えにくいですが、原因が不明な胸水では、やはり経過観察が必要です。胸痛や呼吸苦など自覚症状が出現した場合は、すぐにかかりつけの医師の診察を受けましょう。