健康なんでも相談室

脳動脈瘤

回答者:  鳥取県西部医師会員 門脇光俊

 

 

質問

 

 70才女性。以前から脳の血管にこぶがあると診断されていました。直近のMRI検査で1.8mmの前交通動脈瘤ということで、手術した方が良いといわれました。1.8mmでも手術した方がよいのでしょうか。成功率、予後なども教えてください。

 

 

 

 

回答 

 1.8ミリの前交通動脈瘤

 

 脳の動脈の一部が拡張しこぶ状になったものを脳動脈瘤といいます。

脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血となり、くも膜下出血になると1/3の方は亡くなり、社会復帰できる方は1/3人程度と言われています。くも膜下出血を来す危険因子としては喫煙習慣、高血圧、過度な飲酒などがあります。未破裂動脈瘤の破裂率は1年間に約1%と言われています。5mm未満の動脈瘤では年間約0.5%という報告もあります。次の未破裂動脈瘤で治療を検討することが勧められます。5~7mm以上の動脈瘤。5mm未満でも、①症候性動脈瘤(ものが2重にみえるなどの症状を出している)、②前交通動脈瘤、内頸動脈-高交通動脈分岐部動脈瘤、③形がいびつな動脈瘤。手術に伴う重篤な合併症のリスクは5%~10%と言われますが、動脈瘤の大きさ、場所などにより異なります。治療後も再発のリスク、新たな動脈瘤ができる可能性があるため定期的な検査の必要があります。1.8mmの動脈瘤であれば、一般的には血圧などに気を付けた上で経過観察となります。定期的に動脈瘤の大きさや形を検査することが勧められます。