健康なんでも相談室

左脚前枝ブロックとは

回答者:  鳥取県西部医師会員 都田裕之

 

 

質問

 50代女性。健診の心電図検査で、「左脚前枝ブロック 要観察」と診断されました。どのような病態で、どんなことに気をつければよいでしょうか。

 

 

 

 

回答 

 心室内伝導路の障害

 

 

   心臓は四腔から成ります。全身から静脈血が右房に戻り、右室に移った後、肺動脈に送り出され、肺で動脈血になります。それが左房に戻り、左室に移った後、大動脈に送り出され、全身に回ります。右房にある洞結節に生じた興奮は、両房に広がり、房室結節を通り、中隔のヒス束を経て両室に伝わります、心室内刺激伝導路は右脚と左脚に分かれ、それぞれ右室と左室を支配します。左脚は更に前枝と後枝に分かれます。ブロックを生じた脚や分枝の支配領域の心筋には、ブロックを生じていない領域を経由して興奮が伝わりますが、そのために収縮様式が変化し、基礎疾患によっては心機能に障害が生じます。右脚は細くて長いため、伝導障害が生じやすく、右脚ブロックの症例では、先天性心疾患、肺疾患などが鑑別にあがりますが」、明らかな器質的疾患が認められない場合も少なくありません。一方、左脚ブロックは前枝と後枝が障害されることによって生じます。左脚あるいは左脚分枝ブロックの症例においても、明らかな器質的心疾患が認められない場合も少なくありませんが、虚血性心疾患、弁膜症、種々の心筋疾患などが鑑別にあがりますので、専門医の診察を受けられることをおすすめします。