健康なんでも相談室

パーキンソン病

回答者:  鳥取県西部医師会員 安井建一

 

 

質問

 70代男性。パーキンソン病を患い投薬により病気の進行を遅らせる治療を約3年前から実施、通院中です。それなりの効果は有りますが、最近特に気になるのが滑舌の悪さです。パ行、タ行、カ行、ラ行を主体に発声練習も実施していますが、周囲には民家もため限度があり苦慮しています。発声以外には滑舌回復の訓練はないでしょうか。例えばガムやスルメイカを噛むのは訓練にはならないのでしょうか。

 

 

 

 

回答 

 発声・発語訓練について

 

 パーキンソン病は、単調で小さく不明瞭な発語になり、生活上の支障が徐々に現れます。患者さんの3割は、最も深刻な症状は発声障害であるという調査結果もあります。発語障害は薬物効果が出にくいため、リハビリ、訓練が重要です。

相談者さんが行っている単音を大きく発声する練習が基本となりますが、数唱、音読、歌唱なども推奨されています。声の元となる呼気を増強する呼吸訓練(深呼吸)も有用です。訓練継続のモチベーション維持のため、診察やリハビリで成果を確認してもらう、一緒に訓練するパートナーや仲間を作る、頑張っている自分へのご褒美もあると良いですね。訓練での改善が実生活に繋がらないこともあるようです。普段から大きく、明瞭な発語を心掛けてください。コロナ禍ではありますが、周囲の環境が許せば、発話が必要な場面に積極的に出かけましょう。ガムやスルメですが、流涎や摂食嚥下障害もみられる病気ですので、咀嚼や嚥下訓練に有効ですので続けてください。