健康なんでも相談室

両上肺野胸膜肥厚

回答者:  鳥取県西部医師会員 三上真顯

 

質問

 50代男性。会社の健康診断でX線所見がでました。 昨年は『両上肺野胸膜肥厚像』で、 コメントとして「軽度の変化が認められますが、特に問題ありません。」でした。この症状はどのようなものでどういう人がなるのでしょうか?現在は止めましたが、煙草は35年前に3年ほど日に10本弱喫煙していました。 咳や痰などの自覚症状も特にありません。何か気をつけることがあるでしょうか?

 

 

 

 

回答 

 自覚症状があればCT検査

 

 

 健康診断における胸部X線検査では、「胸膜肥厚」という所見がみられることが珍しくありません。胸膜とは肺を覆っている膜のことを指しますが、胸膜が厚くなる変化のことを胸膜肥厚と呼びます。古い炎症の傷跡であることが多く、殆どの場合は病気として捉える必要はないとされています。しかし胸膜肥厚は、結核などの感染症や悪性胸膜中皮腫などでも認められる変化です。したがって胸部X線検査で胸膜肥厚がみられた場合には、このような疾患によって生じたものではないことを確認しておくことが必要です。さてご質問の件ですが、毎年レントゲン健診を受けておられると思われます。この場合健診機関では前年のレントゲンと比較して変化がないか検討したうえで、「特に問題ない」とされたものと思われます。ご不安な場合は胸部CT検査でより的確な判定ができます。ただし背中の痛みがある場合や、咳や痰、特に血液の混じった痰が出る場合は、CT検査ができる肺がん精密検査機関での精査をお勧めします。