健康なんでも相談室

C型慢性肝炎のインターフェロン療法について

回答者:  鳥取赤十字病院第三内科部長 松田裕之

質問

75歳の主婦です。34歳のときに輸血をしたことがあります。10年くらい前よりC型肝炎といわれています。いま特に治療はせず、ただ3か月に1回くらい、超音波検査と血液検査を受けています。いまGOT 70,GPT 57くらいです。先日のテレビでC型肝炎の人はがん予防のためにインターフェロンをするのがいいといっていましたが、うちの先生は年だからしなくていいといいます。ほんとうでしょうか。

回答

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染により引き起こされる慢性の肝炎で、通常の生活には差し支えはないのですが、徐々に肝臓が壊れていき肝硬変と呼ばれる肝臓の働きが低下した状態に進んでいく場合や、経過中に肝臓がんが発生してくる場合があります。肝臓がんの発生は、C型肝炎では肝臓の壊れ具合(これを慢性肝炎の進行度と呼んでいます)と関連しており、慢性肝炎の初期であれば年間0.5~1%、慢性肝炎の中期であれば年間2%、慢性肝炎の後期(肝硬変の一歩手前の状態)であれば年間5%、肝硬変に入ってしまった場合は年間7~10%の確率で肝臓がんが発生するといわれています。

したがって、C型肝炎の治療の目標は、慢性肝炎が肝硬変へと進んでいくのをくい止め肝臓がんの発生を抑えることにあります。治療法としては、飲み薬や血管注射などにより肝炎の進行に歯止めをかける或いは進行の速度をゆっくりにする方法と、原因となっているC型肝炎ウイルスを退治する方法があります。インターフェロン治療は、C型肝炎ウイルスを退治することができる現在のところ唯一の方法であり、インターフェロン注射をうつことによりウイルスが退治できた方やウイルス退治ができなくても肝炎が鎮静した方では、治療をうけたことがない方に比べ肝臓がんの発生率が明らかに低下するという事実があります。

ご質問にありますインターフェロン治療をするべきかどうかということについては、75歳と言う年齢を除けば、現在のところまさに進行形のC型慢性肝炎でいらっしゃるようですからインターフェロン治療をする方がよいのは明らかです。ただし、この治療は発熱・全身倦怠感・食欲低下などの副作用を伴うのが一般的で、しかも少なくとも6か月間続ける必要があります。したがいまして、治療対象の年齢については、一般的には70歳くらいまでを目安としています。ここで、75歳と言う年齢が問題となりますが、年齢は高くても体力的にはなんら衰えのない方もいらっしゃり、かかりつけの先生や専門医とよくご相談のうえ決められるのが良いと存じます。