健康なんでも相談室

麻疹ワクチンの追加接種-自費だがぜひ受けて-

回答者:  西部医師会員 岡空輝夫

質問

平成12年3月生まれの男の子です。

1歳の時に麻疹の予防接種を受けていますが、追加接種が就学前年の時に受けられる対象外になっていて、受けることができませんでした。

最近、麻疹が流行し成人の麻疹ワクチン未接種者のことが話題になっていましたが、この子は今後、追加接種を受けることができるでしょうか?また、その時には有料なのでしょうか

回答

関東地方を中心に大学生などで、麻疹の流行が見られます。 麻疹は世界中で見られる感染症であり現在でも数年毎に流行を繰り返していますが、2回の予防接種がとても効果があると分かっています。 アメリカ合衆国では1989年から、MMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜの三種混合)の形で1歳過ぎと就学前との計2回接種となり、アメリカ国内での発生患者はほとんどないくらいまで減っています。

日本では2005年度まで麻疹の定期予防接種は1回だけでした。 ようやく2006年度からMRワクチン(麻疹・風疹の二種混合)の形での2回接種が基本となり、流行は見られなくなるはずでした。 ところが、今回は2回接種の恩恵を得ていない世代の大学生を中心とした若者たちが発病しています。

麻疹ワクチンは大変効果が高く、ほとんどの人は麻疹にかからなくなります。 問題はその効果がいつまで続くのかです。麻疹が毎年流行していた時代には、ワクチンを受けた人も毎年のように麻疹ウイルスに感染していました。 しかしワクチンによる抗体を持っていたので、発病しなかったのです。 体の中では発病しないまま、抗体だけは再び上昇した(ブースター効果)のです。 2回目のワクチン接種したのと同じことが自然に起こっていたのです。

したがってワクチンの効果が一生続くかと思われていました。 しかし麻疹の流行が減少し、感染する機会が少なくなってくるとブースター効果が期待できず、予防接種が1回だけだと接種後長い時間が経過する(10年くらい?)と免疫が低下し、ワクチンを接種したにもかかわらず麻疹にかかってしまう例が報告されるようになりました。

ご質問の方は現在小学校2年生ですね。 ワクチンの効果が続いている間は大丈夫かもしれませんが、そのうちに免疫が低下して罹患する可能性が出てくると思われます。 現時点は有料での自費接種ですが、是非追加接種されることをお薦めします。 なお、今後定期の接種に組み入れられて、無料になる可能性としてはゼロではないと思いますが、極めて厳しいものと推測されます。