健康なんでも相談室

高脂血症・・動脈硬化症の促進因子-治療はライフスタイルの改善と適切な薬物療法で-

回答者:  鳥取県医師会常任理事 天野道麿

質問

46歳男性、健康で血圧等も異常なく風邪も引きませんでしたが、最近コレステロール値が225位であったのが、平成15年に250~260に上がりましたので、平成15年10月から病院で下げる薬を頂いて飲んでいます。昨年165まで下がりましたが、昨年、今年と風邪を引きましたので薬との因果関係があるのではと悩んでいます。薬を飲みつづけても良いでしょうか。

回答

高脂血症治療薬を服用され、総コレステロールが250~260㎎/dlあったのが、165㎎/dlまで低下したが、風邪を引きやすくなったので薬の影響を心配されているようですね。

高脂血症では、冠動脈疾患の有無や高血圧、糖尿病などの危険因子など、患者さんの心血管イベント発症リスクを総合的に評価して、治療方針を決定します。

治療が必要な理由は、高脂血症を放置しますと、今後、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化性疾患が発症しやすくなります。

男性の場合、45歳以上だと冠動脈疾患の発症危険因子の数が1とカウントされます。この場合の、脂質管理目標値は総コレステロール220㎎/dl未満、HDLコレステロール(善玉)40㎎/dl以上、LDLコレステロール(悪玉)140㎎/dl未満、中性脂肪150㎎/dl未満となります。

まず実行してもらいたいことは、ライフスタイルの改善です。①禁煙、②食生活の改善(肉より魚、緑黄色野菜、きのこ、海藻の摂取)、③適度な運動(速歩30~60分/日、週3日以上)、④適正体重の維持、の4項目が上げられます。これらにより治療目標値に達しない場合は薬物療法を考慮します。

薬物による副作用を心配されているようですが、風邪を引きやすくなったのは薬の影響ではないように思われます。

冠動脈疾患発症の危険因子の数にもよりますが、総コレステロール160~200㎎/dlを維持しながら治療を継続されたらと思います。

今後、主治医の先生とよく相談され治療を継続されることをお薦めします。