健康なんでも相談室

骨粗鬆症による痛み

回答者:  鳥取県東部医師会員 延原弘明

質問

 86歳になる母ですが十数年前から背中がヒリヒリ痛いと訴え骨粗鬆症と診断されています。猛暑の今夏はあまりに痛がったので、冬季を向かえどうしたらよいか不安です。

 

 

回答

 診療と予防の両面が大切

 

 長い経過の骨粗鬆症による背部慢性痛のようですが、いつもと違う強い痛みのときは新しい骨折が脊椎に出来た場合があります。その場合は、下肢脱力などの症状が無い限り安静・コルセットによる外固定・前屈の禁止で改善します。骨折部がくっつかず不安定な状態(偽関節)になって骨セメントなどで固定する手術(椎体形成術)が行われることもあります。圧迫骨折の安定後も変形が強い場合には脊髄の枝の神経痛が痛みと直接関係ない交感神経と連動して悪くなることも稀ではありません。

 

 その場合は十分な薬物療法や神経ブロックが効果的です。すべての時期に骨粗鬆症の予防は大切で特に日常生活では、カルシウムの多い食事・適度な日光浴・毎日の運動の3つを守り、それに薬による治療を加えると有効です。元気なお年寄りが活動度を落とさない工夫が肝心です。あまり痛みが強く長引くときには内臓の痛みや癌の骨転位などほかの原因も無視できないこともありますから、まずは整形外科やペインクリニック科で診察してもらいましょう。