健康なんでも相談室

食事により生じる頭部顔面の局所性多汗症

回答者:  鳥取県東部医師会員 葉狩良孝

質問

70歳代男性。10年程前から10月頃から4月頃の寒い時期になると食事の都度首から上、鼻頭や頭頂にかけて汗が出て、タオル1枚がびっしょりになります。原因不明で治療の方法がないと言われ困っています。

回答

自律神経に異常の可能性~頭部顔面の局所性多汗症~

汗が多量に出る状態を多汗症と言い、全身に汗が出るのを全身性多汗症、体の一部だけ汗が出るのを局所性多汗症と言います。ご質問では、顔や頭だけに汗が出るようですので局所性多汗症ということになります。

顔や頭に多汗症を生じる場合によく見られるのは、味覚生発汗と言われるものです。これは、辛い物を食べると顔に汗をかくというもので、ほぼ誰にでも見られる生理的な現象ですので、ご質問の状態とは違っているようです。

ご質問の状態に近い病気として、フライ症候群という病気があります。これは耳下腺の病気や耳下腺の手術の影響などで、本来は唾液を分泌させるための自律神経が、間違って顔面の汗腺を刺激するようになってしまったものです。この病気では、唾液が出るような状態になると顔面に発汗が起こってきます。

ご質問の内容には最も近いものと思われますが、寒い時期になると症状を起こすという点では異なる所もあるようです。いずれにしても顔や頭の汗を分泌させる自律神経に異常を生じている可能性がありますので、耳鼻科、脳神経内科、脳神経外科を受診されてはいかがでしょうか。