健康なんでも相談室

長引く咳は小児喘息の可能性-ダニ対策を含めた環境整備を-

回答者:  鳥取赤十字病院小児科部長 平尾正人

質問

1歳10ヶ月の男児。1年前より風邪をひいた後や、それに限らずよく咳き込むようになりました。小児科でアレルギー検査をしても、喘息の気配はなく、卵白で反応は出ましたが、気管が弱く、敏感なのではないかとのことで、治らないままです。咳が始まると数分止まらないときもあり、痰も絡んだりします。母親の私も同じような症状が続き、軽い喘息になっていたこともあり心配です。そうなる前に良い治療法はないでしょうか。

回答

年齢が1歳10ヶ月でアレルギー検査で卵白に対して陽性反応があり、お母さんに喘息の既往があり、風邪をひいた後や夜間に痰を伴う咳がよく出るといったことから考えますと、最も考えやすいのは小児喘息の初期の段階ですね。

アレルギー検査をされたとの事ですが、その検査を受けられた時期とアトピー性皮膚炎の合併がないかどうかが知りたいところです。と言うのは、乳児期にアトピー性皮膚炎があり、卵白などに陽性であった子供さんの中の一部は、1歳を過ぎてくると今度はダニやハウスダスト(家のほこり)に陽性になって来る事があるからです。また頻度は少ないのですが百日咳、気道異物の可能性、また副鼻腔炎による鼻汁が長引く咳の原因になっている事もよくありますので、一度かかりつけの小児科で再度詳しい検査を受けられてはいかがでしょうか。

そして検査の結果、ダニやハウスダストに対してアレルギー反応が出た場合はダニ対策が必要になってきます。布団や寝室のこまめな掃除、ジュウタンの使用の有無、ぬいぐるみの有無、猫や犬の飼育の有無、部屋での喫煙の有無のチェックも必要です。またこの年齢では風邪が喘息発作の引き金になる事が多いので、保育園に通園中ですと風邪への感染の機会が多くなり、喘息を誘発することがしばしばです。あまり症状が好転しない場合は、通園を控えることも(出来れば3歳まで)必要なことでしょう。1年に何回も当科に入退院を繰り返す子供達の中で、保育園を止めた途端、病院と縁が切れるケースが何人もあります。