健康なんでも相談室

長引くむち打ちの症状-体調に合わせ注射治療を-

回答者:  鳥取赤十字病院 麻酔ペインクリニック科 延原弘明

質問

43歳の女性(事務職)です。

10年前に車の追突事故でむち打ちをしてから、毎日肩こり、首のだるさがあり、ひどい時は、頭痛がします。

最近段々とひどくなり、整形外科受診。頚椎に変形があると言われ、それまでは前胸部側の注射でしたが、その日は右肩背部にも注射を受けました。肩に注射をしてもらったら、今までマッサージや鍼治療では全然とれなかった首や肩の痛みが楽になりました。しかし、4日程するとまた痛みが出てきたので、再受診したところ、いつも打つ注射ではないので、できないと言われました。(注射後の安静はとらず、すぐ帰宅しました)どの位の間隔で打つのがいいのでしょうか。また、続けて注射をすると何か副作用があるのでしょうか。他によい治療法がないのでしょうか。

回答

「むち打ち」症状は、通常ほとんどが受傷後早期に治癒し、6ヶ月を超える長期遷延(せんえん)例は患者様全体の約10%に過ぎないとも言われています。当科では経過が長い場合は、初期の状態に加えて加齢変化なども伴っていると考え対応しています。お尋ねの場合も10年を経て頚椎症が合併し、疼痛増強されている例のようです。

急性期~亜急性期の疼痛治療の柱は、薬物療法・非観血的鎮痛法・神経ブロック療法に大別できます。薬物療法では薬効テストを含めて、鎮痛薬・鎮痛補助薬を試用してみていただきます。非観血的鎮痛法では、各施設で設備に幅がありますが赤外線・低周波電気刺激・鍼(はり)・理学療法など体に負担のかからない治療をご提案できます。神経ブロックでは、理学所見・画像診断から原因となっている目標を確定後に透視下神経ブロックを含め必要な治療をご提案します。

お尋ねの注射を神経ブロックと考えてみますと、教科書的な適切な頻度はありません。ただし、体に針を刺すわけですから、神経損傷の原因になる場合が稀にあることは古くから知られています。熟練の先生方でも細心の注意を払って施行しておられます。また神経ブロックに多用されるステロイドという消炎剤は、漫然と使い過ぎてしまうと、胃潰瘍・耐糖能異常・感染症悪化などの全身の副作用や骨粗しょう症・動揺関節症状悪化などの局所の副作用を惹起するので、同一箇所への連用は避けるのが基本です。いつも打つ注射ではないと言われたのはこのためでしょう。一方、局所麻酔薬のみですと、出血し易くなっているといった状態でない限り、症状に合わせて施行できる場合があります。そこは日頃かかりつけの先生なら症状や体調を良く分かっていただけているので安心ですよね。その日の状態を、ご受診時に十分伺ってみましょう。

「むち打ち」症状は、通常ほとんどが受傷後早期に治癒し、6ヶ月を超える長期遷延(せんえん)例は患者様全体の約10%に過ぎないとも言われています。当科では経過が長い場合は、初期の状態に加えて加齢変化なども伴っていると考え対応しています。お尋ねの場合も10年を経て頚椎症が合併し、疼痛増強されている例のようです。

急性期~亜急性期の疼痛治療の柱は、薬物療法・非観血的鎮痛法・神経ブロック療法に大別できます。薬物療法では薬効テストを含めて、鎮痛薬・鎮痛補助薬を試用してみていただきます。非観血的鎮痛法では、各施設で設備に幅がありますが赤外線・低周波電気刺激・鍼(はり)・理学療法など体に負担のかからない治療をご提案できます。神経ブロックでは、理学所見・画像診断から原因となっている目標を確定後に透視下神経ブロックを含め必要な治療をご提案します。

お尋ねの注射を神経ブロックと考えてみますと、教科書的な適切な頻度はありません。ただし、体に針を刺すわけですから、神経損傷の原因になる場合が稀にあることは古くから知られています。熟練の先生方でも細心の注意を払って施行しておられます。また神経ブロックに多用されるステロイドという消炎剤は、漫然と使い過ぎてしまうと、胃潰瘍・耐糖能異常・感染症悪化などの全身の副作用や骨粗しょう症・動揺関節症状悪化などの局所の副作用を惹起するので、同一箇所への連用は避けるのが基本です。いつも打つ注射ではないと言われたのはこのためでしょう。一方、局所麻酔薬のみですと、出血し易くなっているといった状態でない限り、症状に合わせて施行できる場合があります。そこは日頃かかりつけの先生なら症状や体調を良く分かっていただけているので安心ですよね。その日の状態を、ご受診時に十分伺ってみましょう。