健康なんでも相談室

運転中に車のスピードや方角が分からなくなった

回答者:  国立療養所西鳥取病院長 北川達也

質問

63歳になる夫のことです。これまで境界域糖尿病と軽い高血圧で医師に診てもらっていましたが、昨年春のことです。車の運転のスピードが一定せず、交差点でどちらに曲がるのか分からなくなりました。当日すぐに病院に紹介されて脳のCT検査を受けましたところ、右の大脳の中央から少し後ろにかかったところに脳梗塞を起こしていて、即入院となりました。最初から手足の動きには異常なく、三か月後には良くなって退院しました。今は後遺症らしいものは認めませんが、また再発するのではないかと心配です。

回答

脳は障害される部位によって様々な症状をきたします。この方は右の頭頂葉の病変が主のようです。右の頭頂葉の障害では空間の認知障害といって、地理的な配置が掴めなくなりますので、道をどう行けばよいか分からないことがあります。服を着るとき左右上下がわからなくなったり、右に見えるはずのものを無視して気づかなくなることがあります。また自分の病状を正確に把握できないこともあります。もう少し脳の前の方や脳の深いところに病変が及ぶと、脳卒中のときよく見られる半身の運動マヒや感覚マヒが起こります。

運良く後遺症を残さないで治られたようですが、再発作を起こすことはあります。糖尿病と高血圧は脳梗塞、脳出血の原因となる最も重要な病気ですので、症状がなくても適切な食事、運動、休養・睡眠など日々の生活に気を配り、糖尿病や高血圧のコントロールを続けることが大切です。