健康なんでも相談室

軽症2型糖尿病-空腹時血糖値は高くないのに、なぜヘモグロビンA1Cは高いのか-

回答者:  鳥取県医師会常任理事 天野道麿

質問

52歳女性。5年前より高脂血症、高血圧にて加療中です。6ヵ月前に空腹時血糖130㎎/dl、ヘモグロビンA1C8.2%と糖尿病を指摘され、食事療法1,520KCalを指示されました。現在、食事療法1,520KCalを継続していますが、空腹時血糖120㎎/dl、ヘモグロビンA1C8.6%と以前と比較してヘモグロビンA1Cが多少増加しています。空腹時血糖は高値でないのに、なぜヘモグロビンA1C値が高いのでしょうか。

回答

ヘモグロビンA1Cは血糖値の1~2ヵ月間の平均値ですので、毎食後に血糖値が高くなっていることを示唆しています。夜間、血糖値は徐々に下降し、朝食前の血糖値は高くないのでしょう。これは夜間の基礎インスリン分泌がある程度保持されていること、筋肉や脂肪細胞がインスリンの働きを受けてブドウ糖を取り込んでいることを示しています。しかし、食後に血糖値が上昇するにもかかわらず、インスリンの分泌が遅れたり、インスリンの分泌量が少なくなったりすると、食後の血糖値が異常に上がると考えられます。

健康な人では食後血糖値は140㎎/dlを超す事はまずありえません。空腹時血糖値のみならず、食後血糖値を検査される必要があります。その結果、食後血糖値が高くなっていれば、食後の高血糖を改善する経口血糖降下剤(α―グルコシダーゼ阻害薬・速効型インスリン分泌促進薬・肥満例ではビグアナイド薬も選択されます)の適応となります。軽症2型糖尿病の治療に当たっては、血糖値や肥満状態などを考慮に入れ、早期の治療管理を行うことが重要となります。