健康なんでも相談室

身体各部の痛みなどの不定愁訴-セロトニンが関係した病態の可能性-

回答者:  東部医師会員 大谷 純

質問

66歳女性。昨年7月頃から胃の調子が悪く、胸がつかえる感じがあるのですが、胃、大腸、子宮のガン検診では異常がありませんでした。その頃から肩、背中の痛みと頭痛も続き、胸部、腹部のCT、胃カメラを施行して頂いたところ、左腎臓結石があるとのことでした。これらの症状は結石と関係があるのでしょうか。

回答

症状が多岐にわたりますので、結石による痛みというよりは、次のように考える方がよいかもしれません。全身にわたる不調感(不定愁訴)が出現する病態として以前から自律神経失調症という病名で表されるものをご存知ではと思います。これは、アドレナリンとノルアドレナリンという体内物質によって働く交感神経と副交感神経のバランスが悪くなるために、動悸や倦怠感(だるさ)が出現するものと説明されているのですが、最近、これらとは別の系列で生体の統括的な調整を図るセロトニンという体内物質が注目されています。これが脳や身体末梢に作用して、感情(気分)、認知、感覚、睡眠などのリズム、痛み、食欲などを調整していることがわかってきています。

お困りの症状以外に、眠りが浅い、気分が揺れやすいなどに気づかれる場合は一層、この経路の不具合が関係した病気の可能性が高まります。最近、日本でもやっとこの経路に作用点を持つ薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使えるようになりました。この事も念頭において先生とよく相談してみられてはいかがでしょうか。