健康なんでも相談室

足先の冷え

回答者:  鳥取県東部医師会員 重政千秋

質問

80歳代女性。以前から足先が冷え、冬は靴下二枚にカイロも使用していました。昨年八月上旬から両足(膝下)に紫色の斑点が出現し、猛暑の中、冷房下で特に足先が冷え、血流を良くする漢方薬などを服用していますが、効果がありません。その後、寒くなりコタツに入るようになって紫の斑点も軽減し冷えも軽快しました。冷えの原因についてご指導願います。

回答

今回のヒントは、紫の斑点にあるように思います。「肢端紫藍症」と思われます。これは肢端の青紫~赤紫色のびまん性色調変化で、細小血管の機能的調節障害による静脈性の充血とされています。皮膚温は外気と同じ位低くなっています。

ご相談の「四肢冷感」いわゆる冷えの病態は「通常の人が苦痛に感じない程度の温度環境下で腰背部、両下肢、手指に異常な寒冷感を持続的に自覚し、日常生活に支障をきたすもの」と定義されます。症状が一過性で色調が蒼白であるレイノー現象とは異なります。この冷えの原因は、①甲状腺機能低下症や閉塞性動脈硬化症などの器質的疾患、②起立性調節障害(自律神経障害)や心理的ストレス(パニック障害など)などの機能的疾患に分類され、前者は医師に相談すれば容易に診断され、特に高齢者では甲状腺機能低下症は常に考慮する必要があります。前述した「肢端紫藍症」は機能的調節障害ですので、ご相談の症状は後者の機能的疾患による可能性があります。

この機能的な四肢冷感の治療としては、生活リズムの改善、温める治療が主体で、適度な運動も効果的です。冷暖房時の温度管理も有効で室内外の温度差七℃以内を目安として下さい。もちろん喫煙は禁忌です。