健康なんでも相談室

貧血の食事療法-いろんな食品バランスよく

回答者:  鳥取県医師会理事 吉田眞人

質問

40才女性です。検診で赤血球400万/μl 、ヘモグロビン8.0g/ dlでひどい貧血といわれました。食事療法を教えて下さい。

回答

これは、赤血球数はほぼ正常なのに血色素(ヘモグロビン)が低い鉄欠乏性貧血です。体内で鉄が不足する原因は、月経過多・潰瘍・痔など失血による鉄の排泄増加、偏食やダイエットによる鉄の摂取不足、胃切除や胃酸分泌低下による鉄の吸収低下等があります。また激しい運動も、汗から鉄を失い貧血の原因となります。食品に含まれる鉄はヘム鉄と非ヘム鉄に分けられます。ヘム鉄は獣肉・魚・内臓(レバー等)類に含まれ、吸収しやすい形(二価鉄)で吸収率が15~25%です。非ヘム鉄は緑黄色野菜・卵・貝・海藻・豆類に含まれ、吸収が難しい形(三価鉄)で吸収率2~5%です。従ってヘム鉄の多い食品をとる方が効率的です。

さらに肉や魚のタンパクはビタミンCとともに非ヘム鉄の消化管での溶解吸収を助け、ビタミンBや葉酸・銅等も造血に必要な栄養素です。色々な食品をバランスよく食べる事が最も大切です。その他すっぱいものは胃酸分泌を高め鉄の吸収がよくなります。逆に緑茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害する為、食後はほうじ茶や麦茶のほうが良いでしょう。