健康なんでも相談室

言動変だが病院拒否する息子-保健師等の訪問も可能-

回答者:  東部医師会員 山下陽三

質問

30歳代の息子のことで相談があります。前は自分で精神科に通っていたけれど、いつの間にか薬を飲まなくなっていました。病気になってからは仕事も辞め、ほとんど外に出ることがありません。
この半年ほど前から天井に盗聴器が仕かけてある、近所で自分のうわさをしているなど、おかしな言動があります。精神科病院に行こうと声をかけ、薬を飲むように言っても頑として拒否します。夫と一緒に強く言うと怒り出し、物を投げるなどとても説得できません。先日、親だけで精神科の先生に相談に行きましたけれど、往診はできないと言われました。どのように関わったらいいのか、困っています。

回答

今は「こころの時代」と言われ、精神障害者の権利を尊重し、精神科治療への偏見も減っています。しかし、おかしいのは周りの方だとしか思えない場合(妄想)や、自分を「気違い」だと人に後ろ指されるのが嫌で、自分が病気だとは認められない場合(否認)もあります。また、病気という感じがあっても「精神科に行くと入院させられ、たくさんの薬を飲ませられる」という強い不安があるのかも知れません。この点は少量で効果があり副作用の少ない新世代薬も導入されているところです。

いずれにしても無理やりに病院が迎えに行った場合、治療関係がこじれる恐れがあります。治療の導入で公平さを保つため、健康福祉センター(保健所)に相談し、保健師等の訪問面接を受け、医師との同伴訪問を受けることができます。保護のため急ぎの入院が必要な場合は公的移送制度を利用することもあります。ご家族の誰かが保護者となり入院させる場合は、精神保健指定医が診察し入院が必要かどうかを判断します。