健康なんでも相談室

視野中心のゆがみ

回答者:  鳥取県西部医師会員 船越泰作

質問

 70歳男性。2ヶ月程前から右目の景色の中心が少しゆがんで見える事に気付きました。3週間程前からはゆがみがひどくなり、視力も下がってきたようで心配です。

 

 

回答

 加齢黄斑変性の可能性

 

 ものが歪んで見える「変視」が視野の中心にあるということから、視力に重要な網膜の中心部「黄斑」の疾患の可能性があります。病状の進行が早いことから、その中でも「加齢黄斑変性」の滲出型(しんしゅつがた)が疑われます。

 

 加齢黄斑変性は年齢に伴う病気で、進行が早く早急な治療を要する「滲出型」と、進行は緩やかながら有効な治療法のない「萎縮型」があります。

  滲出型は網膜の下にある脈絡膜から発生した異常な血管(新生血管)から、出血や血液成分の漏出が起こるために網膜が障害を受けます。

 

 以前は治療の難しい病気でしたが、近年は原因となる血管内皮増殖因子(VEGF)を抑える薬を眼内に直接注射する抗VEGF抗体療法や、特殊なレーザーと薬剤を用いる光線力学療法(PDT)等により、早期に治療開始すれば良好な視機能を維持出来るようになってきております

 

  病状が進行した後では視機能の回復や維持は困難となりますので早急な専門医受診をお勧めします。 黄斑疾患は両目でみていると気付きにくいため、日頃から片目ずつでの見え方チェックが重要です。