健康なんでも相談室

視力低下とゆがみ

回答者:  鳥取県西部医師会員 船越泰作

質問

 84女性。一昨年から両眼がかすみ、白内障手術も受けましたが改善しません。昨年からは歪んで見え、右目の中心は黒い点があり見えづらいです。複数の病院に通いましたがいずれも治療は難しいとのことでした。両眼とも徐々に症状が進行してきており心配です。

 

 

回答

 加齢黄斑変性(萎縮型)の可能性

 

 白内障手術後にも関わらず視力低下があり、ものが歪んで見える「変視」を伴うことより、視力に重要な網膜中心部「黄斑」の疾患の可能性があります。代表的なものに加齢黄斑変性、黄斑上膜、黄斑円孔、黄斑浮腫等があります。加齢黄斑変性は年齢に伴う病気で「滲出型」と「萎縮型」があります。滲出型は網膜下にある脈絡膜から発生した異常血管(新生血管)が原因で進行は早いですが、眼球内に直接薬剤を注射する抗VEGF抗体療法や光線力学療法など治療が発展してきています。一方萎縮型は進行は緩やかながら今のところ有効な治療法がありません。一般的に黄斑上膜や黄斑円孔には手術治療が、黄斑浮腫にはレーザー治療や薬剤投与が行われますが、複数の医療機関にて有効な治療法無しとされたとの事から、加齢黄斑変性の萎縮型もしくは進行してしまった滲出型病変が有るのかもしれません。いずれにしても経過観察は必要ですので引き続き受診をお勧めします。