健康なんでも相談室

腰椎椎間板ヘルニアは保存療法が原則-障害が強い場合は手術も必要-

回答者:  鳥取市立病院整形外科副部長 森下嗣威

質問

31歳 男性。10年近くヘルニアの痛みに悩んでいます。今度の検査の結果次第では手術も・・と医師に言われましたが、人によっては手術をしないほうが良いと言われます。2ヶ月以上仕事も出来ない程の痛みと、手術をするかどうかで悩んでいます。

回答

腰椎椎間板ヘルニアと言われていろいろ悩んでおられる方がたくさんおられますが、病気に対する正しい知識と適切な治療を受ければ、日常生活に困るほどの事にはなりません。この方も、仕事も出来ない程のヘルニアの痛みとともに手術するかどうかでお悩みのようです。

腰椎椎間板ヘルニアが原因の症状には、痛み、筋力低下(麻痺)、しびれ(知覚低下)が主なものです。痛みとしては、傷んだ椎間板から出る腰痛とその椎間板が背中の方に出っ張って脊髄を圧迫する事(ヘルニア)から起こる下肢痛(神経痛)があります。この方の場合、10年来の痛みのようですので慢性の腰痛と時々起こる激しい下肢痛ではないかと推察します。椎間板がすでに相当に傷んでおり、脊髄もそれなりに圧迫されているのではないでしょうか。

治療はまず手術をしない方法(保存療法)を行います。基本は、横になって体重が腰にかからないように安静にする事です。その上で鎮痛剤の内服や坐薬でさしあたりの痛みを抑えます。場合によっては、神経ブロックのような注射の治療も有効です。保存療法を約1ヶ月行えば、治るべき人は治るか相当に良くなります。その時点でこのまま保存療法で治りそうなら続けたら良いでしょうし、全く良くならないのであれば手術の方法を選択することになります。

手術には、脊髄を圧迫している椎間板の1部分のみを取る方法(除圧術)と、椎間板そのものを取ってしまい骨をはめ込んで固めてしまう方法(固定術)があります。どちらの方法をとるかは、患者さんそれぞれの病気の状態や社会生活の様子で決まります。

大切なことは、中途半端な状態でいつまでもだらだらと痛みに悩んだり、仕事を休んだりしないようにすることです。専門医に相談し、さっさと治して元気よく仕事をしましょう。