健康なんでも相談室

脊柱管狭窄症による下半身の痛み

回答者:  鳥取県東部医師会員 高須宣行

質問

 71歳女性。脊柱管狭窄症の診断を受けました。3年前から下半身(特に大腿部の裏側)の痛みがあり長く立っていられません。

 筋力トレーニングはやっていますが、今年の夏頃から左足の裏にしびれが出て、ウォーキングができなくなりました。

 痛み止めの薬を服用したこともありますが効果がありません。改善する良い薬はないでしょうか。

 

 

回答

 整形外科で相談を

 

 立位や歩行により出現する臀部から下肢のしびれ・痛みが、座位により軽快する症状があれば腰部脊柱管狭窄症と診断されます。この痛みに対して痛み止めの薬が有効であるというエビデンスはありません。

 下肢の痺れに有効と考えられている薬は、経口プロスタグランジンE1製剤、痛みに対する薬は、プレガバリン・トラマドール・ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液などがあります。これらを単独あるいは複数を組み合わせて投与することで症状を改善する効果があります。また、同時に運動・理学療法を併用して行います。相談者が行っているトレーニングは継続してやってください。

 日常生活では、腰椎が伸展しないように少し腰をかがめることを意識してください。しかし、薬物療法のみで軽快しないときは、MRIなどの検査を行い、神経の狭窄の程度を判定します。その結果で、神経根ブロック(圧迫の強い神経根あるいは硬膜外へのステロイド注射)を行う場合があります。

 また、上記の治療が無効で下肢の筋力低下や排尿障害を伴うものは、手術療法が必要になる場合があります。まずは、お近くの整形外科で相談され、適切な治療を開始されることをお勧めします。