健康なんでも相談室

背中とわき腹に激痛-骨粗しょう症性脊椎骨折-

回答者:  鳥取県中部医師会立三朝温泉病院 森尾泰夫

質問

72歳の女性です。2年前に転倒して第12胸椎の圧迫骨折を経験しましたが、何とか治療で治っていました。今年の2月背骨を中心に両脇に向う激しい痛みが起こりました。2ヶ月ほど寝て過ごし今は良くなりました。病院で検査をしていただきましたが原因について明確な説明を受けていません。何故このようなことが起こったかお教えください。

回答

過去に第12胸椎圧迫骨折をされておられることと、70歳台の年齢から推定しますと、今回も胸椎のあたりに脊椎椎体骨折が起こり背部痛と肋間神経痛が起こったと考えられます。骨折ですので1〜2ヶ月の臥床で骨癒合し治ったのでしょう。  高齢者の背部痛や肋間神経痛の起こる原因としては、変形性脊椎症、骨粗鬆症のための脊椎骨折、脊髄腫瘍などの良性の病気や、化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎、癌の脊椎転移などの背骨が破壊される危険な病気があります。肋間神経痛の原因として帯状疱疹(胴巻き)も稀にありますが多くは片側だけですし、発疹が特徴的です。 背骨の病気の診断では詳しい診察の後、レントゲン撮影やMRI、CTなどで画像診断します。また血液生化学検査を行って種々の疾患の可能性を考えます。高齢者で多いものとしては変形性脊椎症ですがこれは急に起こりません。急性に症状のでるもので頻度の高いものは脊椎骨折が多くなっています。もともと骨粗鬆症で骨質、骨量の低下した背骨に軽微な負荷がかかり骨折が起こるのです。安静臥床やギブス固定、硬いコルセットなどの治療で良くなりますが、一度脊椎骨折が起こりますと再骨折しやすくなると言われています。医療機関で骨量の検査(骨塩定量)を受けられ、骨粗鬆症と診断されるようならば、骨粗鬆症の薬物療法を受け、軽い運動、バランスのとれた食事などを心がけましょう。診療所、病院の整形外科では病気の原因を詳しく調べ、わかりやすく説明し、治療する事を職務としています。何とぞ納得のいくまで病気のことを先生におたずねになり適切な治療をお受けください。