健康なんでも相談室

胃切除後に逆流症-逆流は酸かアルカリか-

回答者:  鳥取県立中央病院外科 岸 清志

質問

74歳、男性。13年前に胃を3分の2切除。2年前から胸やけ、喉の焼けつくような苦しみなど、逆流症状が出現し薬の治療を受けていますが、良くなりません。手術で良くなるのなら身体に負担の少ない腹腔鏡手術を受けたいのですが・・・。

回答

逆流症は、胃切除により噴門(胃の入り口)や幽門(胃の出口)の逆流防止機能が失われるために起こります。胃を全摘した場合の逆流は胆汁などアルカリ性ですが、部分切除では酸性の胃液だけのこともあれば、胃液と胆汁との混合液のこともあります。逆流しているものが酸性かアルカリ性かは二十四時間食道内pHモニタリングをすることでわかります。このたびは胃切除後10年以上経ってから逆流症状が出ていますので、前回手術の吻合部より肛門側に何らかの通過障害、あるいは食道裂孔ヘルニアなど噴門機能の障害が起こっている可能性があります。まずはレントゲン検査などで詳しく原因を調べてもらう必要があります。

ご質問の治療法ですが、食生活あるいは内服薬の工夫でも症状が取れず、生活に支障を来す場合には再手術が必要になります。腹腔鏡手術は県内の多くの病院で行っていますが、再手術を腹腔鏡で行うことは必ずしも容易ではありません。逆流症の原因により手術の方法、入院期間は異なりますので、医療機関でよくご相談下さい。