健康なんでも相談室

肝機能異常について

回答者:  鳥取県東部医師会員 松田裕之

質問

50歳代男性。数年前に禁煙し、もともと60kgだった体重が85kgにまで増加し、検診で肝機能異常を指摘されるようになりました。先日内科を受診したところ肝硬変と診断されました。アルコールはほとんど飲まないのですが、肝硬変になることがあるのでしょうか。

回答

一般に「肝臓を悪くする原因はアルコール」と考えられがちですが、アルコールのみが肝機能異常の原因ではありません。アルコール性肝炎以外に、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスが原因のウイルス性肝炎や、肥満・糖尿病・高脂血症などが原因で肝臓に脂肪が異常に蓄積しておきる脂肪肝などがあります。ウイルス性肝炎では、徐々に肝臓が壊され肝硬変・肝臓がんへと進行する危険性が高く、対策としては原因となるウイルスを排除または抑えこむ抗ウイルス療法が最も有効です。また脂肪肝でも、過度の肥満や糖尿病を伴う場合、ウイルス性肝炎と同様に肝硬変へ進行していくことがあります。このような状態を脂肪肝炎といい、脂肪肝の方の約1割を占めるといわれています。近年、この脂肪肝炎・肝硬変の経過中に肝臓がんができる方が急増しています。脂肪肝炎の治療法は、食事・運動に注意し肥満を解消することが第一です。