健康なんでも相談室

耳鳴-先ずは耳鼻科での診察を-

回答者:  鳥取大学医学部脳神経内科 荒賀 茂

質問

68歳 女性。半年前単車に乗っていて交通事故でとばされ、脳内出血を起しました。右半身不随はリハビリにつとめ40日後に退院しました。悩みは耳鳴りで、入院中から20~30匹蝉が鳴いているようです。耳鼻科に紹介されましたが耳も鼓膜も異常なしといわれました。外科で安定剤をもらい夜はそれを服用して気を紛らわしています。脳からきた耳鳴りは治らないのでしょうか。呆けないでしょうか。

回答

~稀に神経内科疾患の場合も~

外傷後の耳鳴とのご質問にお答えいたします。 実は神経内科の外来受診理由で多いのは、頭痛、しびれ、めまい、耳鳴です。耳鳴は耳鼻科が本来専門ですが、耳鼻科受診後にさらに神経内科を受診されることが多いようです。逆に最初に神経内科を受診された患者さんの場合には、私は耳鼻科での精査を勧めています。さてあなたの場合既に耳鼻科での診察を終えられているので、神経内科専門医の立場から説明させていただきます。あなたの場合、外傷後に耳鳴がするようになったとのことですので、外傷との関連を念頭において再検査する必要があるように思います。実は耳鳴ではなく、脳の血管から出る雑音である場合もあるのです。

これらの検査は通常の診察によっても見つかりますし、またCTスキャンやMRI検査で確認されます。これらの検査によっても異常がない場合は、老化からくる耳鳴と診断されると思います。その治療ですが、聴神経系への血液の流れを良くする血管拡張剤や神経の再生をよくするビタミンV12の投与を行います。多くの場合、耳鳴は雑音のある昼間はあまり感じず、静かな夜に聞こえるために不眠の原因となります。この場合安定剤が非常に有効です。最後に耳鳴によってボケ症状を生じることはありません。一度近くの神経内科(脳神経内科)を受診してみてください。