３６歳、女性。今年３月末頃、左耳の前（顎の関節辺り）にしこりを見付け、耳鼻科で“耳下腺腫瘍”と診断され、切除することになったのですが、暫くしてしこりが小さくなったので手術は中止し、経過観察することになりました。1～３ヵ月ごとにエコーで検査して頂いています。しこりは発見当初の大きさに戻り、そのままです。病名はリンパ腺の腫れと言われました。このままで良いでしょうか。
まず、耳下腺腫瘍についてです。他の腫瘍と同じく良性と悪性とに分けられますが、その両者が混在している場合もあります。また、悪性の中でも悪性度がとても低く良性と区別がつかないものもあり、最終決定は実際に腫瘍を摘出して調べて見なければわかりません。 また、良性のなかにも大きく分けて混合腫瘍とワルチン腫瘍というものがあります。簡単に言えば前者は中が充実性で後者は中が空洞になっており粘液が入っている場合が多く見られます。そのために、エコー検査である程度の鑑別ができます。また、悪性のときはしこりがまず確実に大きくなり、触った時に固くて少しごつごつしていて動きにくく、痛みや顔面神経麻痺などが伴う場合が多く見られます。
質問についてですが、このしこりが悪性であったなら、程度の差こそあれ時間とともに確実に大きくなっていきますので、それが小さくなったため悪性の可能性は低く手術の必要はないと判断されたと思います。また、エコーでもかなりの精度で良性・悪性の鑑別が可能です。時々検査をして様子を見ればいいと思います。また病名の「リンパ線の腫れ」ですが、まず、一つには耳下腺の周囲にはそこにくっつくようにしてリンパ節があり、もしかしたらそこが何かの炎症で腫れていたのかも知れません。あるいは、先ほど話しをしましたワルチン腫瘍というのは別名「腺リンパ腫」とも言い、もしかしたらそちらのことを話されたのかも知れません。
どちらにしろ、小さくなっているのであればすぐに手術する必要はなくこのまま経過を見るだけでかまわないと思います。