健康なんでも相談室

耳の聞こえの再生医療は?

回答者:  鳥取県西部医師会員 阿部博章

質問

山中教授のノーベル賞受賞を目にして思いましたが、耳の聞こえに関して再生医療はできないのでしょうか。補聴器で音は聞こえるのですが言葉が判りにくくて困っています。

回答

高度な難聴に人工内耳

基礎的な研究は行われていますが、現在のところ臨床応用に至るまでにはまだ相当な時間がかかるものと思われます。聴覚は高度に分化した感覚で、構造上の特徴から再生医療を用いる事はなかなか難しいでしょう。現在利用できる物として人工内耳があります。

音は鼓膜で拾って耳小骨という体の中で最も小さい骨である骨で蝸牛というカタツムリのような形をした管の中にあるリンパ液に伝えられます。このリンパ液の振動を特殊な器官で神経の信号に変換するのですが、この変換する器官が最も壊れやすく難聴の主な原因となっています。この蝸牛の管状になっている部分に電極を差し込み螺旋の中心にある神経を刺激することにより聴覚を得ようと言うのが人工内耳です。補聴器をつけても会話の理解ができないような高度な難聴に対して効果が期待できます。