健康なんでも相談室

禁煙とメタボ-食事節制と運動習慣を-

回答者:  鳥取県医師会理事 吉田眞人

質問

36歳男性です。身長188cm、体重95kg、腹囲94cmです。1年前から禁煙に取り組み成功しましたが、口寂しさに飴玉をよく食べました。最近、職場の健診でHbA1c 6.2% (正常値5.8%以下) 腹部超音波検査で脂肪肝と言われショックを受けています。どうしたらいいでしょうか。

回答

近年、公共施設での禁煙運動も浸透し、経済的にも健康面からも禁煙を目指す人が増えました。とても良い事です。しかし、質問者のように禁煙のために飴玉をたくさん食べてしまい、糖尿病を生み出しては、一難去ってまた一難です。 禁煙により食欲が亢進し、太ってしまった方が皆さんの周りにもありませんか。禁煙の過程では、特に過食にならないよう本人のみならず家族も気をつけてあげる必要があります。

最近、メタボリック症候群が良く話題にのぼります。ウエストが男性85cm、女性90cm以上あり、高血圧・糖尿病・高脂血症の3つの内、2つ以上あればメタボリック症候群です。 メタボリック症候群では、内臓脂肪から出されるアディポサイトカインと呼ばれるいろいろな働きを持つ物質の分泌に異常が起こる事がわかってきました。

すなわち、内臓脂肪が過剰に体に溜まると、脂肪細胞から出される、血管の柔軟性を保ちインスリンの働きを良くする善玉物質「アディポネクチン」が減り、血栓を作られやすくする悪玉物質「PAI‐1」や血圧を上げる「アンギオテンシノーゲン」等が増加する事で、高脂血症・高血糖・高血圧等を引き起こし、動脈硬化を飛躍的に進めて血栓が作られやすくなり、心臓の血管がつまる狭心症・心筋梗塞、脳の血管がつまる脳梗塞につながります。

約十二万人の労働者を対象に、狭心症・心筋梗塞を起こした人とそうでない人に分けて調べてみると、肥満・高中性脂肪・高血糖・高血圧の4つの危険因子を2個持つ人は5.8倍、3~4個持つ人では35.8倍、狭心症や心筋梗塞になりやすいことがわかっています。
このことを十分理解されて、食事節制や運動習慣に励み、減量につとめ、病気の芽を摘み取っていただきたい。

健診で早い時期から、悪い芽が見つかったわけですので、災い転じて福となるよう頑張って下さい。