健康なんでも相談室

石灰が骨に沈着し痛み-痛風に似た急性関節炎-

回答者:  鳥取県医師会理事 明穂政裕

質問

60歳代女性。2年前に足が痛くて整形外科を受診、骨に石灰が沈着していると言われました。半月前には首・肩・ひじが痛くなり、石灰のせいではないかと思います。どんなとき炎症が起きるのか、今後の対応も教えてください。

回答

関節液中のピロリン酸カルシウム結晶によって誘発される痛風に似た関節炎発作を起こす病気です。家族発生例を除けば高齢の方に多く認められ、本邦の報告では発病のピークは60歳台から70歳台です。男性より女性の方に多く見られます。この病気の原因となる軟骨石灰化症は加齢に伴って増える傾向にあります。遺伝的素因によって起こるほか、加齢や副甲状腺機能亢進症、低リン血症などの代謝性疾患に合併します。  痛風と同様な急性関節炎ですが、発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴うことも時にはあります。症状は数日から1週間で軽くなります。膝関節に多く起こりますが、肩関節、足関節、股関節、手関節、肘関節にも起こります。濁った関節液があり、レントゲン像で石灰化陰影が認められることにより先生はそのような説明をされたのだと思います。

治療は痛み止めの薬と局所の安静が勧められます。さらには関節液の排除と副腎皮質ホルモンの関節腔内注入が有効です。稀に再発することもあります。最後に食事とか運動など日常生活には特に注意はいりません。50肩のように長寿者に与えられた体験とプラスに考えてかかりつけの先生にご相談下さい。